大阪人と明日のパン

「明日のパン買っとかな」
大阪のスーパーでおかんの口からよく聞く言葉です。
私の小さい頃母と買い物に行くと「明日のパン選んでくる~」とパンのコーナーで吟味していた過去を思い出します。
この言葉が当たり前で育ってきたので何も違和感を感じていませんでしたが、この言葉は主に関西でしか使われない言葉なのだそうです。

この明日のパンの「明日」は、明日の朝食ではなく今日食べずにストックしておくと言う意味です。
もちろん明日の朝食のパンのことも、「明日のパン」と言いますが、基本的に朝食以外でも明日以降に食べる予定のパンも「明日のパン」と言います。
焼きたてほかほかのパンでも、それが「明日のパン」として買ったパンなら、食べるのを我慢できない場合以外、買った当日に食べることはほとんどありません。

というのも、関西は朝食はごはんよりパン派の人が多く、ごはんは好きだが朝はパン派という方は結構います。そうでなくても小腹がすいたときに小さめのパンをつまんだり、朝ごはん以外でもおやつ感覚でパンを食べて育ってきた方もいると思います。
たしかに、愛知にすむ父方の祖父母や親戚の家では毎朝ご飯とお味噌汁とおかずたちが朝食で出てきますが、以前神戸に住んでいた今は岡山に住む母方の祖父母の家は必ず毎朝パンです。
ちょっと小腹がすいたから、パン屋さんで買ったパンをおやつに食べることも良くします。

そのため、だいたい家には常に何かしらのパンがあります。
そういった環境で育ってきているので、家にパンが何もない状態(パンのストックがない状況)はかなりの緊急事態では!?と感じます。
なので「明日のパンないから帰りにパンだけ買ってきて!!」と母から連絡が来ることも少なくありません。
この連絡が来ると、「それはえらいこっちゃ」と私もめんどくさいなとは思いつつも買いに来ます。これがプチトマトだったら明日買いに行けばいいじゃんとなるのですが、明日のパンがないのは困ります。

大阪人もこれがこちらで使われている方言のようなものだと知って驚いていたのですが、パンの消費量が関東の方の地域と全然違うのであれば、この言葉がそもそもあまり使わないことも頷ける気がします。
今、家に「明日のパン」はありますか?無ければ買うのを忘れないようにしてくださいね。