大阪府の世界文化遺産

2019年に大阪初の世界文化遺産に登録された「百舌鳥(もず)・古市古墳群」。
大阪府堺市にある前方後円墳で、前方部は長さ約280m、後円部は長さ約200m、高さは約30mもあり、古墳社会の教科書に代表的な古墳の一例として載っていることもあります。

実はこの百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産として登録されるまで、長い歴史があるのです。
始まりは2003年頃で、この頃から世界遺産登録に向けた調査・研究が開始されました。
どんどんその取り組みも活発化して行き、2007年に文化庁から世界遺産候補地公募が行われ、百舌鳥・古市古墳群も応募。2008年には暫定リストに掲載する物件に選ばれ、2010年には世界遺産センターに受理され正式に暫定リストに掲載されました。

ですが、暫定リスト掲載から正式に登録されるまでに約10年の月日がかかりました。
2013年から毎年世界遺産への推薦を目指して、推薦書素案を文化庁へ提案してきたのですがずっと国内選考から漏れ続けたのです。

「階層性が示す『顕著な普遍的価値』の合理性の検討」
「構成資産がどう『顕著な普遍的価値』に貢献しているか」

を明確にする説明が足りないとのことでした。

そこから4年後の2017年に登録審査候補として正式に推薦することが決定し、

「4世紀後半~5世紀後半にかけ広域の豪族による連合政権が初期国家を形成してゆく過程を示している」
「四種の墳形と規模に差異がある古墳群からは被葬者の身分差が読み取れる」
「古墳時代は中国の律令制を採り入れる前の日本固有の文化である」
「古墳の形状は後の時代の皇族の墓形に受け継がれており埋葬の伝統を証明している」
「土製建造物の極めて優れた技術があったことを示している」

という評価をイコモス(国際記念物遺跡会議)から頂き、2019年にめでたく世界文化遺産としての登録が決定されることになったのです。

 

ぜひ観光に来た際は百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産に登録されるまでにこういったお話があったことを思いだしてみてくださいね。